無申告のお尋ね文書増発
相続税・贈与税調査減の背景には無申告のお尋ね文書増発も
【国税庁関係】
税務調査手続を法定化した通則法改正以降、相続税の実地調査も減少し、昨年度の1割減に続き、26年6月末までの1年間も301件マイナスの1万1,909件となり、非違件数は9,809件だった。調査が減少傾向にある一方で見逃せないのは、無申告事案を中心にお尋ねといった調査以外の手法を多用している点で、注意が必要だ。
国税庁によれば、各種資料情報などから、相続税の無申告が想定される者に対して、5,000件弱の規模、贈与税の無申告が想定される者に対して1万件強の規模で、無申告となっていることの理由を聞く「お尋ね文書」が出され、特に贈与税では5割近くが期限後申告などにより、追徴課税に結びついている。
一方、相続税のお尋ねについては、実際に税額計算するとゼロになる場合も多く、追徴課税となるのは1割弱にとどまっているとして、贈与税ほどの手応えにまでいっていない。
無申告の調査事例では、被相続人の父について、資料情報から、生前より多額の不動産、預金等の資産を所有し、相続税の申告が必要と想定されたため、調査対象に浮かんだケースがある。この事例では、相続人である子は、申告期限前に相続財産の集計をした結果、課税価額が基礎控除額を超え、相続税の申告が必要であることを十分認識していたが、相続税を払いたくなかったため、税務署に指摘されるまでは申告しないでおこうと考え、無申告だったことが分かった。
(2014.12.1 No.3868)